―――雨野とりせさんから頂いたロンハーSS
「ユキノハナ」
無彩色、無音、無表情。
雪景色は深々と静まりかえって、純白。
動く影もない。
いや。眩しいほどの白一色の中、翳るのは閉じた瞼の中だけ。
ただ光だけの世界には存在を形作ることさえ危うい。
自分の存在さえ溶けてしまいそうで、私はそっと目を閉じた。
「ハーマイオニー?」
名前を呼ばれても、咄嗟に反応は出来なかった。
荘厳な静寂の世界に、ただ打ちのめされて。
肩に手が置かれた。
「…どうしたのさ?返事もしないで。」
「…ロン。」
銀世界の中、目に飛び込んできた深紅のカラーに、私は目を奪われた。
「こんなトコにいつまでも立ってたら風邪、引いちゃうよ?」
寮の中に入ろうよ、と促すロンに、私はもう少し、と頭を振った。
「だって、凄い怖いくらいの風景なんだもの。…」
「わかった、じゃ、僕もいるよ。」
にっこりと微笑んで、ロンは私の傍らに留まった。
そのまましばらく、二人とも一言も口を効かず、立ち尽くしていた。
ふと思い至って、彼に尋ねる。
「そういえば…良く私がここにいるって分かったわね?」
誰にも言わずに来たのに、と不思議がる私に向かって、
ロンはああ、談話室の窓から君が見えてね、と何でもない調子で続けた。
「君のことならすぐ分かるよ。」
だって、と彼ははにかむように笑った。
「だって君は、雪原の下に凛と咲く、スノードロップみたいだから。」
ただひたすら傍で微笑んでいてくれる彼が。
儚く散る雪の華のように溶けてしまわないように。
雪空の中に吸い込まれてしまわないように。
その鮮烈な色彩を網膜に焼き付けながら、私は柄にもなく感傷的になって。
ロンの胸に、しがみついた。
「…どこにも消えてしまわないでね……。」
「君を置いて?」
そんなはずがないだろう?と包まれる腕の中で、
『幸福』という名の不安に酔いながら。
このまま花になってしまえばいいと思っていた。
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雨野とりせさんに差し上げたロンのイラストです。
そして、こんな素敵なタイトル&SSをもらってしまいましたぁぁ。うき(嬉)
そのおかげで、わたしの絵のグレードが上がったような気分です♪
12月ということで雪を降らせてみました。
優しく微笑んでる、という感じなんですが、
ただ単に眠そうな顔になってしまったような。。
えっと、眉毛が薄いのが特徴です。